青和特許法律事務所

  • トップ
  • IP情報
  • インドにおける特許発明の実施報告書提出義務について

インドにおける特許発明の実施報告書提出義務について

  • インド・ブラジル・ロシア
  • 特許・実用新案
  • 制度の解説

2012/02/10

インドにおいて、特許された発明には実施義務があり、特許付与後にその実施状況を毎年特許庁に報告しなければならないという独自の制度が存在します(インド特許法第146条、特許規則第131条)。
 発明を奨励し、かつ発明がインド国内において遅滞なく商業規模で最大限に実施されることを確実にするために特許を付与する、という趣旨の下この制度が設けられました(インド特許庁“MANUAL OF PATENT OFFICE PRACTICE AND PROCEDURE” 2011年3月22日改訂版、10.05項)。
 一方、特許法は、特許後3年間不実施の特許発明について強制ライセンスを設定できることを規定しており、特許発明の実施報告制度は、インドの国内産業を保護、特にインドの重要産業であるジェネリック医薬品製造の国内事業者を保護する政策上の措置であるといわれています(インド特許法第84条)。
 実施報告は、前年1月から12月までの実施状況を当年の3月31日までに所定の書式(Form27)を提出して行わなければならず、すべての特許について特許権者又はライセンシーに提出義務が課されています。特許庁長官はこの実施報告を公開することができます。

<Form27に記載すべき事項>
1.特許発明の実施の有無
(a)実施していない場合-その理由と実施に向けて取られている手段
(b)実施している場合-
ⅰ)インドで生産されている特許製品の生産量・価格
ⅱ)他国から輸入されている特許製品の輸入量・価格、国名
2.前年内に許諾したライセンス・サブライセンスの有無
3.適正価格により、公衆の需要を充足しているか(一部充足/十分充足/最大限に充足)
  についての陳述

 この報告義務を怠った場合は、法律上、100万インドルピー(注)以下の罰金が科され、また、虚偽の報告をした場合には6月以下の禁固刑若しくは罰金、又は同禁固刑及び罰金が科されます(第122条(1)(b)、同条(2))。
 これらの罰則は現在まで実際に科せられたことはないようです。しかし、報告義務を怠ると、特許発明が不実施であるとして第三者による強制ライセンス請求の根拠とされる場合があり得ます。
 なお、インド特許庁長官は、2009年12月24日付で通知(PUBLIC NOTICE)を発し、実施状況の報告義務を守るよう、すべての特許権者・ライセンシーに改めて求めています。
 したがって、該当する場合、前年の実施状況について早めに確認・調査をして、期限までに現地代理人に報告する必要があります。
 (注) 100万インドルピー=157万円(2012年2月10日現在)

○参考資料 (インド特許庁HPより)
1. MANUAL OF PATENT OFFICE PRACTICE AND PROCEDURE
http://www.ipindia.nic.in/ipr/patent/manual/HTML%20AND%20PDF/Manual%20of%20Patent%20Office%20Practice%20and%20Procedure%20-%20pdf/Manual%20of%20Patent%20Office%20Practice%20and%20Procedure.pdf
2. Form27
http://ipindia.nic.in/ipr/patent/patent_FormsFees/Form-27.pdf
3. インド特許庁長官通知
http://ipindia.nic.in/iponew/publicNotice_24December2009.pdf

○参照条文(参考訳-日本特許庁HPより)
インド特許法
第146条 特許権者からの情報を要求する長官権限
(1)長官は,特許の存続期間中はいつでも,書面による告知をもって特許権者又は排他的か若しくは非排他的かを問わず実施権者に対して,当該告知の日から2月以内又は長官の許可する付加期間内に,インドにおける特許発明の商業的実施の程度について当該告知書に明示された情報又は定期的陳述書を長官に提供すべき旨を要求することができる。
(2)(1)の規定を害することなく,各特許権者及び(排他的か若しくは非排他的かを問わず)各実施権者は,所定の方法,様式,及び間隔(6月以上)をもって,インドにおける当該特許発明の商業規模での実施の程度に関する陳述書を提出しなければならない。

(3)長官は,(1)又は(2)に基づいて受領した情報を所定の方法により公開することができる。
第122条 情報提供の拒絶又は懈怠
(1)何人も次に掲げるものの提供を拒絶し又は怠ったときは,その者は,1,000,000インドルピー以下の罰金に処する。
(a)中央政府に対して,その者が第100条(5)に基づいて提供を要する何らかの情報
(b)長官に対して,その者が第146条により若しくは基づいて提供を要する何らかの情報又は陳述書
(2)(1)にいう情報の提供を要する何人も,虚偽である情報若しくは陳述書,及びその者が虚偽であることを知り若しくはそのように信じる理由を有し又は真正と信じない情報若しくは陳述書を提出したときは,その者は,6月以下の禁固若しくは罰金に処し,又はこれらを併科する。
インド特許規則
規則131 第146条(2)に基づき提出を求められる陳述書の様式及び提出方法
(1)第146条(2)に基づく各特許権者及び各実施権者は,様式27により陳述書を提出しなければならず,当該陳述書は特許権者若しくは実施権者,又はその者により委任された代理人が適法に認証しなければならない。
(2)(1)にいう陳述書は,各暦年について各年末から3月以内に提出しなければならない。
(3)長官は,第146条(1)又は(2)に基づいて長官が受領した情報を公開することができる。

(IP情報室)
©SEIWA PATENT & LAW






                                                                        

ページトップに戻る

お問い合わせ

  • TEL:03-5470-1900(代表)
  • FAX:03-5470-1911(代表)

アクセス

〒105-8423
東京都港区虎ノ門3丁目5-1
虎ノ門37森ビル(10階)

詳細はこちら