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<速報>知財高裁の新たな大合議事件が指定される

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青和特許法律事務所 IP情報室

   知的財産高等裁判所(知財高裁)は平成28年11月17日、平成28年(ネ)第10046号特許権侵害差止請求控訴事件を、通算11件目となる新たな大合議案件に指定すると発表しました。本件では特に、特許権存続期間の延長登録がなされた特許権の効力について、統一的な判断が下されるものと予想されます。

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   本控訴事件の原審である東京地方裁判所平成27年(ワ)第12414号は、「オキサリプラチン溶液組成物ならびにその製造方法及び使用」に関する特許権(特許3547755号)を有する原告が、被告の製造販売する製剤の生産・譲渡等が特許権侵害に当たると主張して、被告製品の差止及び廃棄を求めた事案です。特に、本件特許権は特許権存続期間の延長登録がなされたものであるところ、斯かる延長後の特許権の効力が被告製品に及ぶか否かが論点の一つとして争われました。

   なお、知財高裁は以前、特許権存続期間の延長登録出願に関する特許庁の審査運用を否定する大合議判決(知財高裁平成25年(行ケ)第10195~10198号、平成26年5月30日判決)において、傍論として延長後の特許権の効力にも触れ、「特許権の延長登録制度及び特許権侵害訴訟の趣旨に照らすならば、医薬品の成分を対象とする特許発明の場合、特許法68条の2によって存続期間が延長された特許権は、『物』に係るものとして、『成分(有効成分に限らない。)』によって特定され、かつ、『用途』に係るものとして、『効能,効果』及び『用法,用量』によって特定された当該特許発明の実施の範囲で、効力が及ぶものと解するのが相当である」と判示しております。しかし、斯かる判示を厳密に解釈した場合、延長後の特許権の効力が極めて狭く解釈されるおそれがある(例えば、被疑侵害品の医薬が、特許権者の延長登録の対象となった医薬と有効成分や対象疾患等が同一であっても、有効成分以外の成分(例えば賦形剤成分)の組成が僅かに異なることを理由として、延長後の特許権の効力が被疑侵害品に及ばない可能性がある)として、各種関係筋から懸念が表されておりました。

   原審の東京地裁は、斯かる知財高裁大合議判決の判示事項及びそれに対する懸念を踏まえ、「当該政令処分の対象となった『(当該用途に使用される)物』と相違する点がある対象物件であっても、当該対象物件についての製造販売等の準備が開始された時点・・・において、存続期間が延長された特許権に係る特許発明の種類や対象に照らして、その相違が周知技術・慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないと認められるなど、当該対象物件が当該政令処分の対象となった『(当該用途に使用される)物』の均等物ないし実質的に同一と評価される物・・・についての実施行為にまで及ぶと解するのが合理的であ」ると判示しました。その上で、本件特許発明については、医薬品の有効成分のみを特徴的部分とする発明ではなく、既知の有効成分の新規な製剤に関する発明であって、医薬品の成分全体を特徴的部分とする発明であるとして、延長後の特許権の効力を限定的に認定し、有効成分以外の成分組成が異なる被告各製品は、本件各処分の対象となった「当該用途に使用される物」の均等物ないし実質同一物に該当するということはできないとして、侵害は成立しないと認定しました。

   しかし、斯かる東京地裁が判示した延長後の特許権の効力の判断基準は、未だ不明確であるとして、より明確な基準が求められておりました。知財高裁は今回、この控訴事件を大合議事件に指定することにより、延長後の特許権の効力についてより明確且つ統一的な判断基準を示すものと予想されます。

   本件の口頭弁論期日は、平成28年11月25日午後2時00分から、101号法廷で予定されております。

以上

参考:
知的財産高等裁判所ホームページ
http://www.ip.courts.go.jp/hanrei/g_panel/index.html
原審判決文
http://www.ip.courts.go.jp/vcms_lf/27wa12414.pdf
 

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